古津軽 古津軽

農村に花開いた
庭園文化

平川市

平川市の尾上地域を歩くと、鮮やかな花や木に彩られた庭があちこちに見られます。また通りには生け垣や庭木が連なり、緑の清々しさとあたたかみを感じます。尾上地域には造園関係の業者が、なんと30社ほども。それは、盛美園を作った清藤家24代盛美(もりよし)が、凶作に苦しむ農家を助けるため、庭造りを手伝わせたことがきっかけでした。

紹介している施設は、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響から、休館等の対応をしている場合があります。訪問する際は事前にご確認ください。

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盛美園01
  • 盛美園02
  • 盛美園03

1 乙女心がキュン

レトロとモダンな
「盛美園」

「盛美園」は、面積約12,000㎡もある庭園で、
地元の名士清藤盛美(もりよし)が、「大石武学流」の宗匠を招いて明治35年から9年間を費やして作庭しました。園内の一角にある「盛美館」は庭の観賞用に建てられたもので、
明治42年に完成したものです。1階が数寄屋造りの和室、2階がルネサンス調の洋式、エメラルドグリーンの屋根と漆喰の白い壁、洋風の窓と障子や縁側が不思議と調和されて、
独特の美しさを持っています。ジブリ映画「借りぐらしのアリエッティ」の参考になったと言われている場所です。

盛美園04

農家の救済策が
庭自慢のまちにつながる

盛美園を作っていた当時は、飢饉により農民の暮らしは危機的状況でした。そこで当主は、農民を救うために日当を払い、庭作りを手伝わせました。経験を積み技術を身につけた農民が自宅でも庭作りを始めたり、生業にする人がでてきたことで、地域に庭文化が広がり、造園業が盛んになりました。

盛美園アクセス
開園時/4月中旬~9月 9:00~17:00
10月~11月中旬 9:00~16:30
11月中旬~4月中旬 10:00~15:00
休園日/12/29~1/3
Tel. 0172-57-2020
閲覧料金/大人 500円(2020年4月より)
青森県平川市猿賀石林1
弘南鉄道弘南線「津軽尾上駅」から徒歩約10分
  • 盛美園 2階
  • 盛美園 庭園01

庭を眺める
専門の建物

エメラルドグリーンの屋根が可愛い「盛美館」は、山高帽に袴といった明治の人の服装になぞらえています。設計者が洋風文化が日本に広がり始めた時代のイメージを建築に重ねたものです。2階から眺める庭は絶景で、最高のビューポイントです。奥に梵珠山が借景として見えます。(2階は有料のガイドプランでのみ見学することができます。 ※要予約)

清藤の庭こ

和菓子と抹茶のセットで
ひとやすみ

庭園鑑賞の帰りに、休憩所でひとやすみ。津軽りんごと小豆が入ったオリジナルのお菓子「清藤の庭こ」と抹茶のセットがいただけます。

抹茶のセット

津軽の大石武学流について

「大石武学流」(または単に「武学流」)は津軽地方独自の庭園の様式で、粗野な岩石を大胆に配し、枯れ池・枯れ滝、燈籠を立て、針葉樹の築山にも岩石を配します。借景は岩木山が多く使われます。江戸時代から始まり、明治・大正期に盛んになり、現在まで、国の名勝から個人のお宅まで数多くの庭が造られてきました。

  • 大石武学流01
  • 大石武学流02
大石武学流03
大石武学流04

農家の庭園も「武学流」

平川市尾上地域の農家の多くには、きれいに手入れされた庭「つぼ」があります。江戸時代から津軽で受け継がれてきた作庭技法「大石武学流」は、一般の農家の「つぼ」にも広がりました。

  • 農家蔵01
  • 農家蔵02

農家蔵・
農家庭園巡り

平川市金屋地区には、明治から昭和中期までに建てられた約80棟の蔵があります。蔵は農家所有のもので、りんごとお米を貯蔵するためのものです。扉や窓の重厚さや、左官職人が長寿(鶴・亀)や火災除け(水・波)を願いコテで描いた「コテ絵」が見事です。蔵の多くが国登録有形文化財に指定されています。

平川市金屋地区アクセス
平川市金屋
お問い合わせ/NPO法人 尾上蔵保存利活用促進会
TEL. 0172-57-5190
弘南鉄道線弘南線「津軽尾上駅」から徒歩約40分
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平川市グルメ01
  • 平川市グルメ02
  • 平川市グルメ03

2 平川グルメ

月に2日間だけ開店!
「蔵カフェ」のパン

平川の農業法人が平川・尾上地域に今も残る300以上の農家蔵を「文化遺産として後世に残したい」とグリーンツーリズムやまち歩きツアーを開催しています。パン作りもその一環で2013年から通販のみで始め、翌年、「農家蔵」を改装した「蔵カフェ」をオープンしました。(蔵カフェの開店は毎月、第4金曜・土曜のみ)

蔵工房「蔵カフェ」アクセス
営業時間/11:00〜16:00
営業日/第4金曜・土曜
Tel. 0172-88-5039
青森県平川市金屋中松元88-1
弘南鉄道線弘南線「津軽尾上駅」から徒歩約40分
  • 蔵カフェ01
  • 蔵カフェ02

蔵カフェ
米どころのパン

「蔵カフェ」のパンは、無添加で身体にやさしいパンです。平川市産の「つがるロマンの米粉」に国内産小麦「春よ恋」をブレンドして、酵母は「白神こだま酵母」を使っています。米粉ならではのもちもち感が魅力。焼きたてのベーグルも最高です。

ももさわ菓子舗04

「ももさわ菓子舗」は
和菓子も洋菓子も人気

明治45年に創業。新鮮な素材を厳選して作られる甘味は地元の人に愛されています。
店内には、上生菓子やおまんじゅうなど和菓子はもちろん、ケーキや焼き菓子など洋菓子もバラエティ豊かに並べられています。
地元の高校生がパッケージをデザインした「すっぽんパイ」など、コラボ商品もいろいろあります。

ももさわ菓子舗アクセス
営業時間/9:00〜19:00
(定休日:第1水曜)
Tel. 0172-44-2015
青森県平川市本町北柳田16-1
弘南鉄道線弘南線「平賀駅」から徒歩約5分
  • ももさわ菓子舗02
  • ももさわ菓子舗03

絶品!どら焼き
「わさもどら」

「も」と大きく焼き印がおされたお菓子は、「わさもどら」というどら焼き。「わさもどら」とは、津軽弁で『私にもちょうだい』という意味です。しっとりとやわらかい皮にたっぷりの自家製つぶあんが入っています。味は、「マーガリンとあんこ」と「お餅とあんこ」の2種類。(1個 各187円)しっとりときめの細かい皮と、甘過ぎないあんこが絶妙。何個でもいただけます。

津軽百年食堂「大十食堂」

津軽百年食堂
「大十食堂」

初代が明治33年に始めたそばとうどんの店が120年続いて現在は4代目。ラーメンは4代目のオリジナルの味。出汁は真イワシのみで、焼き干し風に香りと風味を活かして焼き、臼で細かくした後、乾煎りします。スープは豚骨の髄を割り、6〜7時間煮込みます。とても手がかかりますが味が壊れないように努力を惜しまず、麺も手揉みの自家製です。おすすめは、焼きそばとラーメンのハーフセットに、おにぎりがついたAセット(780円)(写真)。シンプル・イズ・ベスト!大十食堂の魅力が詰まっています。

※2021年の6月に閉店しましたが、焼きそばは「さるか荘」の御食事処「もてなし」で提供しています。
さるか荘
住所:平川市猿賀池上45-1
Tel:0172-57-3367、
11:00~15:00、毎月第3水曜日休
御食事処「もてなし」
https://hirakawa-gurume.com/shop/motenashi

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猿賀神社の宵宮01
  • 猿賀神社の宵宮02
  • 猿賀神社の宵宮03

3 猿賀神社の宵宮

津軽を代表する
神社のお祭り

猿賀神社は1万6千坪の敷地を有する津軽を代表する神社です。蝦夷征伐のため坂上田村麻呂が「神蛇宮」として建立したと伝えられます。江戸時代から農業や漁業、交通の神、眼の守護神として尊信されてきました。「宵宮」も津軽最大級。夕暮れに数多くの露店が参道に並び、灯りがともり始めると、小さな子供からお年寄りまでたくさんの人が集まってきます。

猿賀神社アクセス
Tel. 0172-57-2016
平川市猿賀石林175
「津軽尾上駅」から徒歩約15分
猿賀神社の宵宮04

屋台で、もぐもぐタイム

猿賀神社の「宵宮」では、通りに80店ほどの出店がずらりと並び、何を食べるか悩んでしまうほど。たこやき、からあげ、黒石焼きそばなどがっつり系から、クレープなどのスイーツまで。子供だけでなく、大人もワクワクする津軽の宵宮です。

※毎年旧暦8月14日から16日に津軽最大級の例祭「十五夜大祭」が開催され、1日目に行われる「宵宮」には、数多くの露店が並びます。県無形民俗文化財「津軽神楽」の奉納や「県下獅子踊大会」なども実施されます。

  • 猿賀神社の宵宮05
  • 猿賀神社の宵宮06

ロマンティックな
鏡ヶ池の橋

境内には、鏡ヶ池、見晴ヶ池と2つの大池があります。一面に蓮の葉が広がる「鏡ヶ池」は猿賀信仰の中心的存在で、蓮にちなんだお菓子「蓮根ようかん」が地元の名物になっています。宵宮では、橋に行灯が並び、幻想的でロマンティックなスポットに。橋のたもとは月の名所にもなっています。

猿賀神社の宵宮07

「こい(恋)」多き!?
「こいこい神社」

猿賀公園の見晴ヶ池には、赤い鳥居の「こいこい神社」が。鯉は、滝を昇ると龍になるという伝説があり縁起物とされています。鳥居に立っているだけで「こい」が群れになって集まってきます。

猿賀神社の宵宮08

ANOTHER SPOT

まちなかの憩いの場
「七柱神社」

昔、七柱神社はケヤキの大木が何本も繁り、ケヤキの森として親しまれていましたが、日露戦争のとき船の用材として使われ、今は、大木は4本のみになりました。推定300年以上の巨木は、今も地域のシンボルとして憩いの場所となっています。

七柱神社アクセス
青森県平川市尾上栄松26 弘南鉄道弘南線「津軽尾上駅」から徒歩約10分
  • 七柱神社01
  • 七柱神社02
七柱神社03

「志賀坊森林公園」と里山風景

標高350mにある志賀坊森林公園からは、岩木山と広大な津軽平野が見渡せます。ここから眺める「古津軽」のパノラマは感動的に美しく、人気の撮影スポットです(写真右)。(冬期は通行止め、4月上旬~11月中旬が通行可)写真左と中央は、田んぼや畑など平川の里山風景です。

志賀坊森林公園アクセス
青森県平川市広船嘉瀬沢47-1 弘南鉄道弘南線「平賀駅」から車で約20分
  • 志賀坊森林公園01
  • 志賀坊森林公園02
志賀坊森林公園03
「農村に花開いた庭園文化」の地図

「農村に花開いた
庭園文化」の地図

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